世界最大のビジネスSNS、Linkedinが100万ユーザーを獲得するまで
Linkedin とは
Linkedinとはビジネス版SNS、2017年時点で200の国に5億人以上のユーザーを抱えています。2002年に創業、2003年5月、サービスローンチ、2011年にニューヨーク証券取引法に上場、その後2016年にマイクロソフトに26億ドルで買収された。
創業者はどんな人?
創業者のReid Hoffmanはスタンフォード大学を卒業し、AppleやFujituで起業に必要なスキルを学び、SocioNetというSNSサービスで起業。そのサービスは失敗におわりましたが、その後Paypalにジョイン(創業者の一人、ピーターティールとはスタンフォード大学時代からの友人で彼に誘われたらしいですね)
Paypalのebay買収後にLinkedinを2003年にスタートさせました。
ユーザー数の推移を見てみましょう
- サービス開始から約一年後の2004年8月時点で 100万ユーザー突破
- 2006年5月に単月黒字化を初めて達成
- 2007年、ユーザー1000万人突破
- 2017年、ユーザー5億人突破
うーん、すごいですね~
100万ユーザー獲得まで
この記事ではLinkedinがどのようにして100万ユーザーを獲得したかに焦点をあてています。数多くのスタートアップが100万ユーザー到達の前に死にゆくと言われますが、Linkedinはどのようにしてその壁を突破したのでしょうか
創業者がSeries B のピッチを公開しています。それを見てみましょう
http://www.reidhoffman.org/linkedin-pitch-to-greylock/
サービス開始の2003年からの詳細なデータです。
10万人を突破するまでに7ヶ月かかってますね。
おおざっぱな登録数は 300人/日ですかね、Founderも言っているように思ったペースでユーザー獲得が進まなかったようです。
ホフマン氏は自身の資産を使って初期のLinkedInのプラットフォームに資金援助を行い、2003年5月5日にLinkedInは公式にサービスを公開しました。その後1週間でLinkedIn登録者は1万2500人を超えましたが、日によってはユーザー増加数は20人に満たない日もあったなど、経営陣が考えていたよりも成長スピードは遅かったとのこと。しかしながら、サービス開始から4か月以内にユーザー数は5万人を突破し、Sequoia Capitalから初めての大規模な融資ラウンドとして470万ドル(約4億7600万円)を調達しています。
当時存在していたSNSサービスのFriendsterは10.5 million, MySpaceは2.5 millionものユーザーがいた一方で、Linkedinは1 million にも届いていませんでした。
LinkedIn’s Series B was a concept pitch because our data at that point wasn’t impressive. At the time, Friendster had about 10.5 MM users and MySpace had 2.5 MM users. LinkedIn, at the time, was still approaching its first million users and did not have a dime in revenue.
Linkedinが100万ユーザーを獲得するのはサービス開始から約一年後の2004年です。FounderのReid Hoffmanが述べているように2004年のSeries B ラウンド時点ではSeries A で調達したお金をほぼ使い切っていたようです。おそらくSeries A のお金を100万ユーザー獲得のためのマーケティング活動やプロダクト改善にあてたのでしょう。また、Series B までに利益は全く出ていませんでした。
初のビジネス向けSNSではなかった?
Linkedinが初めてのビジネス向けSNS...ではなかったようです。Linkedinと同様に若く、ビジネスに特化したSNSを展開するスタートアップがいくつもありました。(下図の青い部分)当時大手のSNSだったMySpaceなどはビジネス向けではなく、今のFacebookのようにPersonalな内容のSNSだったようです。
ユーザー数こそLinkedinが競合の中では1位でしたが、active userやengaged user, revenue per userなどの観点では競合のほうが優れていました。
競合優位性
しかし、ネットワークのgrowth rateではLinkedinが1位で、それは最終的にも重要なファクターになったようです。
- ネットワーク
Linkedin は初期より(ピッチでも繰り返し強調している) ネットワークの効果を重視しています。そしてネットワークの成長率が最も高かったのはLinkedinでした。
SNSではより多くのひとが使っているほど利便性、メリットが増えます。そのためLinkedinが拡大するほどユーザーが指数関数的に増加するのでしょう。 - ユーザーの質
Linkedinには100以上の企業のマネジメント層のユーザーが数多くいました。これはかなり強みになったのでないかと思います。
ビジネス上のつながりを得る場合、通常部下ではなく自分より上の役職の人とつながりたいと思うのは自然ではないでしょうか。あと特筆すべきは創業者はPaypalのBorading menmberの一員だったためシリコンバレーのVCやスタートアップのキーパーソンとつながりたい思いサービスに登録しますよね。
ここからは完全に推測ですが、FounderにはシリコンバレーのスタートアップやVCに多くの知り合いがいた可能性もあります。彼はLinkedinの前にも一度スタートアップを立ち上げていますし、Paypalの取締役会の一人でした。さらにスタートアップへの投資も積極的に行っていたらしいです。そのような人がつながりたいと思うビジネスマンが多く登録していたってことも成功の要因の1つではないでしょうか - データに基づいた経営
例えばSeries Aで調達した約4億円を全部使って100万ユーザーを獲得したと考えてみましょう。400円/1ユーザーくらいですね。ユーザー獲得単価は通常もっと高いはずなので4億円をすべてつかっても100万ユーザーを獲得できたとは考えられないでしょう。なので、おそらくA/Bテストやプロダクト改善によって頭をつかってユーザー獲得を行ったんでしょう。
Linkedinは当初からデータに基づいた経営を行っていた企業でした。例えば、2004年ごろ当時まったく知られていなかったABテストを最初に行っていました。さらに、ユーザーエクスペリエンス向上のためにデータに基づいたプロダクト改善を常におこなっていたそうです。
特に2003年はバイラリティ(バイラル機能)を伸ばすために最大限の努力を行ったとのことで、「100万人のユーザー」という目標を掲げて、いかにして新規ユーザーが他の知り合いに招待メッセージを送ってくれるのか多くのテストを実施。その結果、招待メッセージを送るセクションは「4ページ」が最適で、多くしても少なくしてもユーザーのスキップ率が上がってしまうとのこと。さらにユーザーのメールアドレスから招待メールを送りやすくするために、Outlookの連絡先アップロード機能や、Outlookプラグインを設けるなどしており、2012年にはGmailプラグインも導入しています。これらの努力によって、送信された招待メールの数は30%増加し、全体的なPV数は41%増加したとのこと。
世界最大級のビジネス特化型SNS「LinkedIn」が成長を続ける秘密とは? - GIGAZINE
初期の競合優位性はもっと他にもあるのかもしれませんし、外から見えないこともあるのでしょう、
まとめ
Linkedinについてリサーチを行ってみました。初期のマーケティングにしぼった記事になりましたが、まだわからないことが残ってしまいました、、
引き続きリサーチを続けていきたいと思います。
- ローンチ開始一週間で1万2500人の登録者をどうやってあつめたのか
- 100万ユーザー獲得までの具体的なマーケティング施策など