パフェットの銘柄選択基準を大公開【後編】

この本を読みましてルールをそのまま引用しました。

 

本概要

世界的投資家のウォーレン・バフェットが巨万の富を手にできたのは、好不況の波を乗り越えて生き抜く長期的競争力のある企業を見つけて、その株を長期保有したからでした。

では、どうやって長期的競争力のある企業を見抜けばいいのか? バフェットが手がかりにしたのは財務諸表だった。

 

わかること

パフェットがどのようにして銘柄を選択しているのか、どのように財務諸表を読めば投資で高いリターンが出せるのか

 

前回の記事はこちら

 

パフェットの思考回路 

バフェットは今この銘柄を10ドルで買うと、今後10年間で10%EPSが成長し続けるので、10年後にはEPSが〇〇になり、それを長期金利で現在価値に戻すと現在の妥当株価は〇〇ドルである、だから買い

とこのように考えます。

これくらい考えられたらいいな、、、

(成長率とか割引率の計算方法は別記事を参照してください、、)

 

わたしたちが探し求める会社は、自己株式調整済み負債比率が0.80以下が良い

  負債合計 ÷ 純資産合計 = 負債比率

負債比率を指標として使うときには、ひとつ問題がある。永続的競争優位性を持つ企業は、きわめて優秀な経済性を備えているため、事業活動を行うさい、貸借対照表の巨額の純資産(内部留保)を必要としないという点だ。ときには純資産(内部留保)をまったく必要としない場合もある。このような企業は収益力がきわめて高く、しばしば、積み上げられた純資産(内部留保)を自社株買いに注ぎ込む。結果として、純資産(内部留保)は減少し、負債比率は上昇し、数字上、永続的競争優位性を持たない凡庸なビジネスとの見分けがつかなくなる。

そのため、自社株買いで膨らんだ自社株式の価値を加えた自己株式調整済み負債比率を用いる

 

すぐれた企業は、優先株を発行しない傾向がある

 優先株について興味深いのは、永続的競争優位性を持つ企業には、貸借対照表優先株をまったく計上しない傾向があるという点だ。優良企業は収益力が高く、資金を内部調達できる。優先株はテクニカルな面から見ると、受け取った金を返さなくていいという点で株式に分類されるが、機能的な面から見ると、配当を払わなくてはならないという点で債務と似ている。

 しかし、債務にたいする利払いは、税引前利益から控除できるのに対し、優先株にたいする配当は控除が認められない。つまり、優先株の発行は非常に高くつく場合が多いのである。企業は可能なかぎりコスト高の優先株の発行を控えるため、資本構成の中に優先株を含んでいるかどうかが、永続的競争優位性の有無の判断になるわけだ。

 

内部留保の着実かつ長期的な増加は、永続的競争優位性を持つ企業の特徴のひとつである

 内部留保からされた投資はさらなる利益を生み、利益は内部留保として蓄積され、ふたたび、もっと収益力の高い事業に投資された。

  

レバレッジで高い利益をあげている企業は永続的優位性をもった企業ではない

パフェットは投資銀行のようなレベレッジをかけて高い利益をあげる企業を批判します。実際、銀行は純資産1ドルに対して10ドルの負債という大きなレベレッジをかけています。

 

自己株式(金庫株)の存在は、企業が豊富なキャッシュを持っている証である

自社株買いをする場合、株主資本が少なくなるのでROEは自動的に上がる。ROEが上がった理由を見極めることが重要。また、自社株買いをした場合、その自社株が資産に反映されていないことがあるので注意

 

株主資本利益率が高ければ、やがて株価の上昇となって表われる

  純利益 ÷ 純資産 = 株主資本利益率

 ウォーレンは、永続的もしくは長期的競争優位性を持っている企業は、株主資本利益率が平均よりも高くなるということを発見した。

 株主資本利益率の高さは、その企業が内部留保を有効に活用していることを示している。時間が経過するにつれ、高い株主資本利益率は、ビジネスの根源的価値を増大させていく。そして、それはいつの日か株式市場によって認識され、企業の株価の上昇となって現れるのだ。



優良企業の特徴は自社株買いを行い、長期借入金を少なくし、資本的支出(設備投資や研究開発費などの事業継続のために必要なあらゆる投資)が少ない

 “資本的支出”とは、1年超にわたって保有される資産 - すなわち土地や生産設備などを取得するさい、支出される現金もしくは現金同等物を指す。この項目には、特許のような無形資産の取得費用も含まれる。基本的にこれらの資産は、一年超の期間に減価償却もしくは、なし崩し償却される。“資本的支出”はキャッシュフロー計算書の“投資活動によるキャッシュフロー”に計上される。

 資本的支出のありようは、会社によってさまざまである。多くの企業は、事業継続のためだけに、巨額の資本的支出を余儀なくされる。巨額の資本的支出が何年も続けば、当然ながら、収益に大きな影響が出はじめてもおかしくない。「だから自分は電話会社に投資をしないのだ」とウォーレンはいみじくも語っている。通信綱を整備するために、電話会社は莫大な資本支出を強いられており、この支出は会社の長期的経済性を著しくそこねているからだ。

  長期的に見たとき、永続的競争優位性を持つ企業は、そうでない企業と比べると、資本的支出に振り向ける純資産の割合がきわめて低い。

 ウォーレンが看破したのは、年間の資本的支出が純利益の50パーセント以下、という状況を長年にわたって維持してきた企業は、永続的競争優位性の持ち主である可能性が高いということだった。年間の資本的支出が一貫して純利益の25パーセント以下なら、永続的競争優位性から恩恵を受けている可能性はさらに高まる。

 

配当アップよりも自社株買いを続けている企業こそが株主を富ませる

 永続的競争優位性から恩恵を受けている企業は、大量の現金がとうとう流れ込んでくるため、何につかえばいいかという贅沢な悩みがつきまとう。既存事業に再投資するつもりもなく、新規事業を開拓するつもりもなく、かといって放置しておきたくもない場合、使い道としては株主配当と自社株買いのふたつが考えられる。

 しかし、配当を受け取った株主は税金を支払わなければならないので、ウォーレンは株主配当の手法を好まない。株主の財産を増やしたいなら、もっと気のきいた手口があるからだ。それは自社株買いである。企業が剰余金の一部を自社株買いにまわせば、発行済み株式総数が減り、1株あたり利益が増え、やがては株価の上昇を引き起こす。





ウォーレンはどのように優良企業の株の買い時を決めているのか

 優良企業の株をいつ買えばいいのだろうか? まず第一は、弱気相場を狙うことだ。優良銘柄は、“弱気相場の大特価”でも、ほかの銘柄ほど割安にならないが、長い目で見れば、この株価水準でも十分に良い取引ができる。また、永続的競争優位性を持つ企業もたまには、ヘマをやらかしたり愚行を犯したりして、短期的に株価の下落を招く場合がある。

 

ウォーレンはどのように売り時を決めているのか

 ウォーレンの世界では、永続的競争優位性が失われないかぎり、“スーパースター企業”の株を手放すことはない。理由は単純明快。長く保有すればするほど、より大きな利益を得られるからだ。そのうえ、素晴らしい投資先を売却することは、税金を払う必要がある。長期投資すれば一円も税金を払わなくて良い

とはいえ、“スーパースター企業”を売却したほうが、保有しつづけるよりも有利な場合もある。第一に考えられるのは、もっと優良な企業をもっと有利な価格で買うチャンスが訪れ、資金調達のために現有の優良企業の株を売る場合だ。このような状況は折に触れて発生する。

 ふたつめは、現有の優良企業が永続的競争優位性を失いそうな場合。このような状況も周期的に発生する。例をあげるなら、新聞社とテレビ局だ。新聞とテレビは優良なビジネスだったが、インターネットの登場により、突如として永続的競争優位性が疑わしくなってきた。競争優位性に疑問符がつく企業は、安心して長期投資を行える場合とは言いがたい。

 三つめは、株式バブルが発生した場合。常軌を逸した上げ相場では、優良企業の株価が天井を突き破り、ビジネスの真の経済性をはるかに上まわる水準に達する。そしてこの“ビジネスの真の経済性”は、株価が成長圏という限界を超えて上昇したあとには、重力のように株価を地表まで引きずりおろす効果があるのだ。株価が高くなれば高くなるほど、現有銘柄を持ちつづけるうまみは相対的に小さくなっていく。なぜなら、株をいったん高値で換金して、より有利な案件に再投資するほうが、将来の利益を極大化できるからだ。