トランプ大統領選、ケンブリッジアナリティクス社のなにが問題か?

問題の概要

本問題の概要は、ドナルド・トランプアメリカ大統領選挙キャンペーンを担当していた「ケンブリッジ・アナリティクス」(以下CA)というイギリスの会社が
Facebookのデータを利用して、トランプ大統領選キャンペーンを展開していたということ。

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問題のきっかけはCambridge Analyticsの元社員が告発しました。

www.newsweekjapan.jp


しかし、データを分析して戦略をきめることはごく一般的であり、それの何が問題のあることなんでしょうか?
2008年にオバマが大統領選に勝利することができたのも、ソーシャルネットワークでのキャンペーンが成功したからだとも言われています。

 

ここでの問題となる争点は以下の2つです。
①Cambridge AnalyticsがFacebook上の情報をユーザーの許可なしに大統領選挙戦のために取得、利用していたのではないかということ
②Cambridge AnalyticsもしくはロシアがCAを通して、トランプを操り人形にしていた可能性

①に関して

データを分析してキャンペーンを展開することはなんら悪いことではありません、しかし、もしそのデータが不正に取得されたものであれば大変な問題です。
Facebookから不正に取得された可能性があるからこそ、本件はこんなにも大きな問題になっています。そしてFacebookのCEOが謝罪する事態になっています。

 

事件の経緯はこのようになっています

ケンブリッジ大学の教授とCA社が共同で性格診断テストのアプリを開発。学術研究の目的でフェースブックから特別な権限をもらう。

・この性格診断テストはフェイスブックアカウントでログインしなければ、受けられないようになっていた。一回受けるにつき、ユーザーに2~5ドルの報酬が支払われていた

・およそ32万人の米国民がこのテストを受けた

・このアプリは学術研究目的とされていたため、FBから通常より多くの個人情報にアクセスできる権限が与えられており、受講者のみならずその友人の個人情報を抜き取る権限が与えられていた。

・そのため、1人のユーザーに付き約150人(友人分)の情報がCA社に提供され、合計でその数はおよそ5000万人に達した。(32万人×150人)

・このようにして抜き取られたおよそ5000万人分の米国民のデータはトランプキャンペーンのマーケティングや選挙戦略に活用された。

・その後、Facebookは2016年にデータの不正利用に気づく。しかしCA社がデータを削除したという言葉を信じ、特に調査など行わなかった。(FBもこれは認めています。)

しかも当時のフェイスブックの利用規定では、このアプリにテストを受けた人の友達の情報にもアクセスすることを認めていたため、ケンブリッジ・アナリティカは都合5000万人分の情報を入手した

フェイスブック上の「性格判断アプリ」で5000万人情報流出、トランプ陣営の支援に利用も | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 

ここまででいくつか争点となることをまとめますと、

・学術研究という目的で収集されてデータが商業目的に利用された。

もし商業目的(トランプキャンペーン)に利用されたならば、合意内容に反するとFacebook主張は主張しています。また、このように個人情報をユーザーの同意なしに利用することはイギリスの法律にも違反しています。

・アプリをつかった人の詳細な個人情報だけでなく、その友人の個人情報までもが収集されていた。(もちろん同意はない)

例えば友達が何かのアンケートにFacebookで答えていたとして、その友達とFBでつながっていたら、自分の情報(どんな投稿にLikeしたか、性別、国籍、生年月日、どんな国へ行ったかなど)も抜き取られているってものすごく恐いですよね?

FBでログインするサービスは多くありますが、そこで提供される情報は生年月日、名前など必要最低限に限られています。

しかし、本問題では何を投稿したか、どんな投稿にいいねを押したか?などの情報まで提供されたとあります。

Facebookのいいねねボタンは最近種類が増えましたよね?

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実はこれはユーザーの心情をより深く解析できるようにするためだと言われています。

ある研究によると、Facebookの投稿やいいねされた投稿を分析することにより、そのユーザーの人種、年齢、好みの政党がかなりの精度でわかるそうです。

つまり、アメリカ大統領選挙でも

「このユーザーはFacebook上で〇〇の投稿へいいねをしているから共和党(トランプ)支持の可能性が高い。だからこのような広告を表示しよう」

という戦略をうっていた可能性が高いです。

 

ここまででFacebook上のデータが不正に取得され、大統領選挙に使われいたことがわかりましたでしょうか?

わたしたちの想像以上にFacebook上のデータは第三者に利用されているようです。

 

参考記事

www.theguardian.com



問題② Cambridge Analyticsがトランプを操り人形にしていた可能性

"Drain the swamp(膿を失くせ)"や"Croocked hillarey(いかさま師、ヒラリー)"

などトランプが選挙期間中に頻繁につかっていたワードがあります。これらはトランプはインタビューやメディアの前で会話の中で使ったり、キャンペーン期間中にこれらのキーワードの入ったオンライン広告やCMが打たれていました。ここまではなんら問題ないんですが、

問題となっているのは

"Drain the swamp" や "Croocked Hillary"というスローガンが

「トランプが大統領選に出馬表明をする前にCA(ケンブリッジ・アナリティカ社)によって作られていた」

ということです。

事実としてCA社の告発者がインタビュー動画で述べているように
これらのスローガンの有効性を2014年にCA社が調査を行っていると述べています。

www.youtube.com

 

2014年とはトランプが大統領選に出馬するということを表明する約2年前です。

その頃からCA者は、これらのスローガンは国民に支持されるのかという調査を行っていたというのです。トランプは上記で述べたスローガンを会話の中で自然につかっており、僕もこの事件の前まではキャンペーン中にトランプが創作したものと思っていました。

つまり、プロパガンダと思わせずに自然な文脈で使われていました。これにより影響を受けたアメリカ国民も多くいるはずです。


そのことで、CA社はトランプにこれらのスローガンをいわせ、トランプが都合のいい操り人形になっていたのではないか、という疑惑がでてきているのです。

またCAのCEOは別に隠し取りされたビデオの中で

「候補者は操り人形だよ、常にね」

といっています。


しかしながら、政治家はロビイストのいいなりともしばしば言われますし、トランプ1人で大統領選挙へ勝つ戦略を考えることは不可能です。そのため、ここまではそんなことあるのかなぁと思っていました、、

しかし、問題なのはこのCA社がロシアの支援を受けていた可能性があるということ。
「つまりCAを通してロシアがトランプを操り人形にしたのでないか」
という疑惑がでてきてアメリカのメディアは大騒ぎしています。

また、CA社と共同研究していた教授もロシア系でした。

ロシアとトランプの関係に関してはここ最近何度も報道やスクープがでてきて、ロシアがトランプを選挙で勝てるように影で支援(操る?)していたと言われています。
理由はトランプの方がロシアにとって好都合のためです。(ロシアへの輸出規制などをトランプは緩めてくれるから)


つまりまとめると
1,Cambridge AnalyticsがFacebook上の情報をユーザーの許可なしに大統領選挙戦のために取得、利用していたのではないかということ
2,トランプがロビー団体(CA)もしくはロシアの操り人形になっていた

という問題点があり、大騒ぎになっています。

しかしトランプさん、つい先日もプレイメイトの女性に愛人関係にあったことを暴露されたりとほんとにスキャンダルには事欠かないですね。。(笑)